自分らしく生きたいと願う人はとても多いですね。
でも、そもそも何をもって「自分」だと認識しているのでしょうか?
生まれたばかりの赤ちゃんは自他一体で「自分」という意識はありません
自分のモノも他者のモノも区別してないですよね。
それが言語の発達とともに「じぶん」という「個」が形成されていきます。
- 名前、住所というような客観的な事実
- 背が高い、低いなど他者との比較によって得る情報
- コミュニティ内での言語・非言語(体感したこと)によってつくられる価値観・ルール
- 人との関係を通して起こった事実の解釈による思い込みや信念
- 思い込みや信念から発生する感情のパターンやクセ
これらが「じぶん」という「個」を認識させています。
つまり後天的に蓄積された情報が「じぶん」を認識させているのです。
Contents
個人的無意識とは
生まれてきた赤ちゃんは自他一体で「自分」も「他人」も区別がありません。
潜在意識だけの状態です。
それが言語の発達とともに「個」の材料となる情報が潜在意識に蓄積されていきます。
蓄積されることで後天的にできる領域のことを「個人的無意識」といいます。
また「個人的無意識」は集合的無意識から分離してできる領域なので「分離意識」ともいわれます。
集合無意識が「調和」や「違い」という領域なのに対して、個人的無意識は「比較」や「差」という概念が存在する領域でもあります。
個人的無意識に蓄積される情報
個人的無意識に蓄積されていくのは、ルール・価値観・概念・思い込み・信念・解釈に対する感情などです。
言語の発達とともに、家族や地域、学校といったコミュニティ内での体験によって形成されます。
言語・非言語を問わず、五感を通して感じた感覚として蓄積されていくのです。
- ・他者と関わることによって、比較・競争・差から感じ取るもの。
- ・他者との間でおこった出来事に対する解釈からつくられるもの。
- ・その解釈に対して感じた感情。
顕在意識がしっかりと出来上がる10歳前後までの間に「じぶん」の元をどんどん蓄積していきます。
「じぶん」はプログラミングされるもの
ある出来事が1回起きて、そして2回目が起こると、1回目と同じ解釈をして「やっぱり」となります。
さらに3回目が起こるとまた同じ解釈をして「やっぱり」が確定されます。
「やっぱり」が確定されるとそれがプログラミングとなります。
プログラミングされたものは、パターンとなって繰り返され、どんどん確信度合いが高まり、最後はプログラミングによって自動操縦されるようになります。
たとえば、Aちゃんが3歳の時に妹が生まれたとします。
ママに甘えたくて、かまってほしいのに、ママはかまってくれません。
そのような出来事が1回、2回、3回…と起こり、何度目かの時にプログラミングされます。
「ママは妹ばっかり可愛がる」
「ママは私より妹の方が好き」
「ママは私の願いは聞いてくれない」
「私はママにとって邪魔な子なんだ」
「私には価値がない」
「どうせ私なんて…」
さらにその時の「悲しい」「さみしい」「可哀そう」「悔しい」「怒り」「苦しい」「辛い」という感情も一緒にプログラミングされます。
このように、まだ幼くて未熟な状態での体験が「じぶん」の元になっているのです。
そしてそのプログラミングされた「じぶん」が自動操縦化し、大人になっても今もなお「じぶん」として発動しているのです。
潜在意識の特徴
1.「イメージ」と「実際の体験」の区別がつかない
たとえば「梅干し」と聞くと、実際に食べていないのにイメージだけで酸っぱく感じて唾液が出たりしませんか?
潜在意識はイメージと実際の体験の区別がありません。
2.時間の概念がない・「いま」しかない
潜在意識には「過去」「未来」といった時間の概念がありません。
だから幼い頃にプログラミングした「じぶん」であるにもかかわらず、何十年経っても鮮度をもって、今もそれが「じぶん」だと認識して採用されるのです。
3.現状維持しようとする
潜在意識も脳と同じで恒常性が働きます。
ですから一度プログラミングされたものは自動操縦となって働き続けます。
つまり、変化を嫌うのです。
ですから一度プログラミングされた「じぶん」はその状態の「じぶん」であり続けようとするのです。
4.善悪の概念がない
潜在意識は善悪をジャッジしません。
ですから、幼少期の頃はあらゆる概念・ルール・価値観・思い込みが暗示のようにどんどん蓄積されていきます。
幼くて未熟な自分が体験して得た情報を、そのまま蓄積していくのです。
5.語尾が通じない
例えば「戦争が “ない”」の語尾の“ない”は通じません。
その結果なにが起こるかというと、潜在意識は「戦争」だけを認識してしまうのです。
6.潜在意識は一人称
例えば目の前のひとを「可哀そう」だと認識したのなら、それはかつての「可哀そうな自分」を見ていることになります。
無意識にフォーカスする人が他人だったとしても、潜在意識は「自分」だと認識するのです。
その「じぶん」で満足ですか?
個人的無意識(分離意識)の中の「じぶん」が今の自分を司っています。
- 怒りっぽい自分
- 嫌われる自分
- 可哀そうな自分
- 落ち着きのない自分
- ひとみしりの自分
- 何をやっても失敗する自分
- すぐにあきらめる自分
- 自責をやめられない自分
- 罪悪感のある自分
その「じぶん」は、どれも幼少期の未熟な判断でプログラミングされたものです。
その「じぶん」が今もなお「じぶん」として現実を創り出し、目の前の出来事に対して反応しているのです。
インナーチャイルド・ビリーフ・ブロック・フレーム・ラベリング、呼び方はいろいろありますが、どれもプログラミングされた「じぶん」です。
あなたはその「じぶん」で満足ですか?
あなたはその「じぶん」が創り出す現実に満足ですか?
満足していないのなら、まずはその「じぶん」の存在に気づいて下さい。
その「じぶん」が自動操縦で無思考で反応しているだけだと気づいてください。
あなたの望む現実にとって、その反応は必要ですか?
顕在意識をつかって「じぶん」を観察する
個人的無意識の領域が後天的にできると同時に、顕在意識もできます。
顕在意識は「意思」「意図」「決定」「判断」など理性を司る領域です。
言語の発達が確立する10歳前後に完成するといわれています。
この理性ある顕在意識を「観察者」として意識的につかっていきませんか?
・望む未来にむけて、叶えたい夢にむけて、目の前の出来事に対して、今の「じぶん」のこの反応は必要だろうか?
⇒必要ではないから、いったんこの感情を脇に置いて進んでみよう。
・いつも同じパターンを繰り返してしまうのは何故なんだろう?
⇒個人的無意識に「○○なじぶん」がいた。この「○○なじぶん」が現実を創り、反応していたのだと気づいたら、現実が自然に変わった。
・どうしても手放せない想いがあるのはなぜだろう?
⇒ある出来事を○○だと勝手に解釈していただけだった。事実に対して自分勝手な意味づけをしていただけだと分かったら、手放せた。
・悩みを解決したいのに永年解決できないのはなぜだろう?
⇒○○な「じぶん」が○○を求めていたからだったと気づいたら、悩みが悩みでなくなった。
・あるタイプの人への嫌悪感・否定感・イライラがあるのはなぜだろう?
⇒実は無意識に抑圧した「本質の自分」や傷ついた自己により封印された「本質の自分」がいた。その封じられた自己像が他者への嫌悪感や否定感として映し観ていただけだった。
このように今までは無意識で反応していたことを、理性を持つ観察者として意識化するとプログラミングされた「じぶん」に気づくことができます。
その上でその「じぶん」をいま必要な「じぶん」へとカスタマイズしていきましょう。
そのためにも、まずはプログラミングされた「じぶん」に気づくことです。
最後に
本質・個性などのアーキタイプは誰もが持って生まれてきます。
ところが成長のプロセスの中で、他者と関りながら、後天的に「じぶん」という「個」が形成されていきます。
それは本来もっていたアーキタイプとは分離しているものです。
ですから、分離した「じぶん」に気づくことで「本来の自分」と統合されていきます。
分離した「じぶん」なんてフェイクのようなものです。
そんな「じぶん」に振り回されるのではなく、どんどん本来の自分へと統合していきましょう。

